Welcome to our party 2 【気象系BL】
第43章 旅立ちの日に by うめ
「おいら…自分の夢を熱く語ってる翔が好きだった」
親指で俺の涙を拭いながら…先生は語り出した。
「世界に通用するジャーナリストになりたいって…その為にニューヨーク大学に行くんだって…いつも言ってたじゃんか」
「でも…離れたくないって思わせたのは…先生だよ…」
「………『行くな』って…言いたいよおいらだって。でもさ…」
「………」
「大切な人の成長を妨げる様な愛し方は…したくない」
「先生…」
「………頑張って来い。翔ならやれる。大きくなって…戻って来い」
「………大きくなれなかったら…?」
「翔ならやれる。でももし…上手くいかなかったとしても翔はきっと大きくなってる筈だ。翔が全力で挑んだ証が…そこにはきっとある」
「………うん…」
「おいらも翔に相応しい男になる。大きな男になって待ってる。だから…思いっきりやって来い」
「………はい先生…」
「もう先生じゃないだろ…」
「………さ、とし…」
やがて…また彼の唇が重なる。
今度は…深い。深い…キス。
そしてそのまま彼の腕が俺を押し倒していった。
大好きな香りに包まれながら…俺は智と最後の一時を過ごした。
その日から一度も逢わないまま、俺は彼の元を旅立って行った。