Welcome to our party 2 【気象系BL】
第43章 旅立ちの日に by うめ
「いつ出発すんの?」
ふと、先生の口から発せられた言葉。
「………来週」
「早いな。入学式9月だろ?」
「父さんの仕事の事もあるし。先に行って生活に慣れた方がって…」
「………そっか」
そこまでで途切れてしまう会話。
お互い前を向いたまま…ぼんやりとしていた。
入学式で一目惚れしてしまった大野先生。
美術教師だと知って俺は高校3年間、ほぼ毎日ここに通った。
宿題や課題をやったり…昼御飯を食べたり。
先生と過ごした。
絵心なんて全く無い俺が。
大好きだったんだ。
貴方の表情も、仕草も、
「また来たのか」
そう言いながらも付き合ってくれる優しさも。
貴方に結婚を考えてる恋人が居ると知ってからも…。
「………寂しくなるなぁ」
「え?」
反射的に彼の方を見ても先生はずっと前を向いたままで。
「進学校じゃ美術室なんて毎日来る生徒なんか居なかったもんな。櫻井だけだった」
「そっ、か…」
何だ…そういう意味か…。
項垂れていると床に着いていた手に…先生の手が重なった。