Welcome to our party 2 【気象系BL】
第43章 旅立ちの日に by うめ
静まり返った校舎。
歩く度にカツンカツンと足音が響く。
高校生活最後の日。
最後のHRを終えた俺は卒業証書を握り締めて目的の場所へ向かっていた。
立ち寄った生徒会室を出た頃にはもう既に人影はなく、校舎には人は居ない。
俺と…恐らくただ1人を除いては。
校舎の1階、南棟の片隅にある教室。
ドアに手をかけ深呼吸をした。
彼は…来てくれてるだろうか。
俺の望み通りに。
力を入れると…その引き戸は軋ませながらゆっくりと動いた。
………居る…。
中に入ると油絵具や粘土の香りに包まれる。
俺の好きな…心地いい香り。
机やキャンバスが乱雑に置かれた美術室の真ん中に…彼は居た。
俺に…背を向けて。
「………せんせ…」
そう声を掛けると…彼がゆっくりと振り返る。
「やっと来た」
ふにゃりと笑うその笑顔は…3年間変わらない俺の大好きな笑顔。
3年前一目惚れした…大好きな笑顔。
「来て…くれたんですね」
「生徒会長の頼みだからねぇ」
床にあぐらをかいたまま隣のスペースをポンポンと叩く先生。
促される様にそこに座った。