Welcome to our party 2 【気象系BL】
第42章 淡雪 by あにゃ
「若かったよなぁ〜あの頃は」
四年前の自分を思い出すと、つい笑みが零れた。
自分のことで精一杯で、君の気持ちを慮ることなんて少しも出来なかった。
君がなぜ、なにも言わずに俺に抱かれていたのか。
なぜあの日だけ、キスを強請ったのか。
あの日溢した涙の意味を。
ずっと考えていた。
そうして四年後の今、導き出した解答に、君は花丸をくれるかな?
「…智くん…」
あの日、一面の銀世界だったそこは、今は若い芽が息吹く緑色に覆われていて。
その中にぽつんと佇む猫背の背中に声を掛ける。
華奢な背中がビクリと震えて。
ゆっくりと振り向いた彼の瞳は、まるで幽霊でも見たかのように驚愕に見開かれていた。
「…翔、くん…」
震える唇から、焦がれてやまなかった澄んだ声が俺の名を呼んで。
堪らずに、その身体を腕の中に閉じ込めた。
「…どう、して…?」
首筋に顔を埋めると、仄かに薫る甘い香り。
ああ、本物の智くんだ…。
「好きだよ…ずっと、智くんだけが好きなんだよ」
耳元で囁くと、大きく震えて。
答えはやっぱりなかったけど、背中に回された腕が強く俺を引き寄せた。