Welcome to our party 2 【気象系BL】
第42章 淡雪 by あにゃ
それから卒業式の日まで、智くんは俺に近付こうとはしなかった。
学校でもいつも一緒にいたのに、俺を避けるように休み時間になるとどこかへと姿を消して。
言葉を交わすことも、視線を合わせることすら出来ないまま、卒業式を迎えた。
式は滞りなく進み、卒業生代表挨拶を読むために、壇上へ上がる。
そこから、君の姿を捜した。
一段高いところから見下ろす俺の目には、君が立っているところだけがスポットライトが当たっているように光輝いて見えて。
その中の君は、まっすぐに俺を見ていた。
俺もじっと見つめ返す。
と、不意に彼の唇が動いた。
『が・ん・ば・れ』
唇の動きだけでそう伝えて、ふわりと優しく微笑んでくれた。
心がじんわりと温かくなって。
知らず、涙が零れる。
好きだよ、智くん。
ずっとずっと、君のことが好きだったよ。
君と過ごしたこの3年間。
決して忘れない。
式が終わって、君といつも二人で歩いた河川敷の道を、たった一人で歩く。
この先も、ずっと一人で歩く。
自分で選んだ、この道を。
俺は、溢れる涙を拭うことも出来ずに、ただまっすぐに前を向いて、歩き続けた。