Welcome to our party 2 【気象系BL】
第42章 淡雪 by あにゃ
情事が終わった余韻に浸ることもなく、智くんが背中を向けて制服を身に纏う。
学ランの一番上のホックまできっちり留めてから振り向いた彼は、もうさっきまでベッドの上で乱れていた彼とは別人のように静謐な佇まいで。
俺が今まで抱いていたのは、彼の幻なんじゃないのかという錯覚すら覚える。
彼の絹のような肌の感覚が、まだこの掌に残っているのに。
「じゃあ、ね」
いつものように、さらりと告げられた別れの言葉。
そのまま、背中を向けてドアノブに手を掛けて。
だけど、もうすぐに向こう側に消えると思っていた彼は、ピタリと動きを止めた。
「智くん…?」
「…がんばって、ね?」
「え…?」
小さな声だったから、聞き返すと。
振り向いて。
今日、初めてまっすぐに俺を見た。
「応援、してるから。ここから、ずっと。翔くんのこと、応援してるからね…?」
儚くて、でもすごく綺麗な笑顔でそう言った彼の瞳から、大粒の涙が零れ落ちて。
すぐにドアの向こうに、その姿が消えた。
「智くん!」
慌てて窓を開けると、玄関から飛び出していく後ろ姿が見えて。
真っ白な雪が彼を隠すように視界を遮った。