Welcome to our party 2 【気象系BL】
第38章 Bitter sweet by つぎこ
気がつけば、とっぷりと日が暮れていた。
隣のデスクには、昼間とは別人の、まるで機械のようにキーを打ち続ける大野さん。
当分終わりそうにない、そんな感じだ…。
不本意ながらもここで付き合ってるのは、櫻井さんから本日中に彼に渡して欲しいと、念を押された書類があるからだ。
この調子だと、本日中…は無理かもしれない。
滑らせるような繊細な指のタッチ。
カタカタ…と規則的な音だけが、フロアに響く。
艶やかな睫毛。
綺麗に通った鼻梁。
ツンと閉じられた薄い唇。
今なら遠慮はいらないよな…。
端正な横顔に、つい時間を忘れ、見惚れていた。
いつしかキーの音は止んでいて…。
電池が切れたように、大野さんの動きは停止していた。
いつものことだ…。
この人の視界には、隣にいる俺の存在なんて微塵もないんだから。
引き出しの中から、小さな塊を取り出した。
明日使うはずだった、最後の一個…。
照準を定め…
いつものように放った塊は、いつものような軌道を描き、いつものように着地した。
結果は、いつもの…如し、だ…。