Welcome to our party 2 【気象系BL】
第4章 Nostalgic Romance by Namako
「はっ…あぁ…好き、先生が好き…」
「俺もだ、翔…」
「ん、はぁ…っ、あっ、あぁ……っ!」
俺の腕の中で脱力する翔の身体を抱きとめ、涙と汗に塗れた顔を手拭いで清めてやる。
「済まないことをした」
頭を下げると、力なく伸ばされた手が俺の頬をスルリと撫でた。
「謝らないで? 僕、嬉しかった…」
乾いた筈の涙がまた頬を濡らした。
堪らず細身の身体をギュッと抱き締める。
その時、窓の外では警報を報せるサイレンが騒がしく鳴り響いた。
一面の焼け野原で見つけたのは、錆びれたアルミ缶に入った8ミリフィルムと、翔が愛用していた銀縁の眼鏡。
あの日戯れに回した8ミリフィルムは、在りし日の翔の笑顔を写し出した。
君はまだそこにいたんだね…?
ゆっくり瞼を閉じると浮かぶ、最後に交わした唇の感触が蘇る。
そろそろそっちに行ってもいいかい?
俺の頬を一筋の涙が濡らした。
カラカラカラ…
俺達の愛を記録したフィルムがカチンと音を立てて止まる。
永く待たせたな…?
ふふ、もう待ちくたびれたよ…
膨れる君の頬にそっと口付ける。
カタカタカタ…
あぁ…長い時を経て再びカメラが回り出す…
end