Welcome to our party 2 【気象系BL】
第19章 冬隣 by つぎこ
「…ほらっ。さっさと起きるっ。」
包まっていた毛布が勢いよく剥ぎ取られた。
「…しっかりしてよね? もうすぐ赤ちゃん産まれるんだよ? 」
寝起き早々、小言が降ってきた。
…。
ずいぶんと…
強くなったと思う。
重ねた月日の成せた業。出会った頃のどこか危うげな彼は、儚く消えてしまった。
因みにコドモを産むのは、前に彼が拾ってきた捨て犬のおーちゃん。
彼の愛情を一心に受けるソイツが、羨ましくも妬ましくもあり…。
きっと産まれた子犬は手離さないだろう。
引っ越しでも、するかな。
久し振りに夢を見た。
だけど…
あれほど俺を縛りつけていた筈の面影が、思い出せなくなっていた。
思い出そうとすると、別の顔がするりと重なるんだ。
「…もうっ。…あ…んっ。」
するりと重なった顔。
まだ小言を続けようとする唇を塞いだ。
季節は巡る。
たとえこれが、幻影だとしても…。
END