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第16章 暁闇 by millie
「雅紀…死にたいの?」
小さい頃は「雅紀」「潤」と呼び合っていた。
主従の関係になった時から「公」「松本」と呼ぶようになった。
互いの立場を明確にし伝えてはならない感情を隠すために…。
なのに今、潤は雅紀の名を口にする。
「『死にたい』?」
小さく首を振り綺麗な笑みを湛える。
「じゅ……松本は面白いことをいうね…。俺は望んじゃいけないんだよ?『死にたい』んじゃない…『死ななきゃいけない』んだよ…」
あくまで主君として立場を堅持しようとする雅紀を睨みつける。
「『死ななきゃいけない』んだ…。じゃぁさ、俺が殺してやるよ…。天国に…連れてってやるよ」
「…松もっ…ううん…潤が?殺してくれるの?」
まるで子供のように無垢な笑顔を潤に向ける。
「潤…俺を…殺して…」
最期を愛する人の顔を見ながら終えられるなら…そう思うと笑みが溢れる。
そんな雅紀を寝台に押し倒すと馬乗りになる。
「雅紀…」
眼光の鋭さが消え静かに雅紀を見下ろす潤。
「ね?潤…ここにね…手をかけて…力を籠めれば…それで…ね?」
潤の腕を取って自らの首に触れさせる。
確かな鼓動を伝える白い首筋。
手を外し代わりに口づける。
「潤っ!」
予想外の行動に跳ね起きようとする体を押しとどめる。
「いいだろ?どうせ死ぬんだ…。なら…構わないだろ?雅紀…。本物の天国に行く前に…地上の天国、見せてやるよ…」