第18章 彼の為なら。・:+°家康。・:+°
献上品の酒がなかなかよかった・・・
信長の一言で決まった酒宴。
広間には政宗が作った料理が次々と並び、鼓や笛の音が広間に響き渡る。
「祝宴と変わらないね。」
隣にいた政宗に声をかけると
「最近後処理みたいな仕事ばかりでみんな士気が下がってたんだ。やるならこれ位やらないとな。」
からっと笑う。
「家康がいないのは残念だったな。お前も寂しいだろう。」
頭上から光秀の声がしたかと思うと夕霧の真横に腰を下ろし始めた。
「領地の事気にしていましたから。」
本来は異常ともいえる武将達の安土長期滞在も落ち着いてきた為、家康は一時的に領地へ戻った。
一緒に行く話も出ていたが、一時的な滞在で仕事も山積みであろうと今回は一緒に行くのを見合わせた。
「我慢してんだな。えらいえらい。」
またまた頭上から声がしたかと思うと、ポンポンと頭を撫でられる。
「秀吉さん、私子どもじゃないよ。」
光秀の横に腰を下ろす秀吉を横目で見ると、自分の隣の光秀が口を開いた。
「そうか?頭も体も童に見えるが・・・」
「ひどっ・・・」
「光秀、夕霧をからかうな。」
いや、秀吉さんもなかなか酷い。完全に子供扱いなのだから。
「寂しいなら俺が慰めてやろうか?」
「大丈夫」
割って入る様に夕霧の顔を覗き込んだ政宗を笑顔でかわす。
政宗までからかって・・・
いつもなら家康がすぐに割って入って止めてくれる。
「隙がありすぎ。」
よく怒られる。
その彼がいないのだ。武将達からすればからかいたい放題だろう。
こんな姿みたら家康怒るだろうなぁ・・・
「家康の事を考えているのか。」
「っ・・・え?」
そんな顔をしていたんだろうか・・・気付かないうちに光秀さんの顔が間近にあって驚いたが、なるだけ平静を装った。
「おおかた、こんなにみんなにからかわれて家康に怒られるんだろうなとでも考えているんだろう。」
「なんで分かるんですか?」
「顔から駄々漏れだ。」
駄々漏れ・・・
「嘘ですよね。」
「お前本当に分かりやすいな。」
政宗まで・・・