第13章 雨。・:+°信長。・:+°
「信長様は小さい頃どんな子どもだったのですか?」
信長は少し間を置くと話し始めた。
「まぁ、あまり感心出来る童ではなかったな。」
ふっと笑う信長様を見て自分も笑う。
「何だか想像ができます。」
信長様は子供の頃の話しを色々としてくれた。
「印地打ちを家臣の子どもや城下の子ども達とよくやった。」
相撲や狩り・・・どの話を聞いてもとても若様がやる遊びとは思えないものばかりだった。
「お城で遊んだりしなかったのですか?」
「城でする遊びなど何が面白い。自由にならん程つまらんものはない。」
・・・信長様らしいな。その一言に尽きる。
「そういう貴様はどうなのだ?」
うーん・・・
小さい時かぁ・・・
「兄弟で遊んだり・・・近所の子達と広場で遊んだりですかね。お天気の日は外で遊んでました。だから、雨の日は退屈で退屈で・・・」
「こんな天気は嫌いだったか?」
「はい。」
返事をしてはみたものの・・・今、雨が嫌いだなんて思わない。
私・・・いつから雨が嫌いじゃなくなったんだろう。
子どもの時は本当に嫌いだった。家から出られない事が嫌で嫌で、よく毎日天気ならいいのにと思ったものだ。
あんなに嫌で嫌で仕方なかったのに・・・
「貴様、何を考え込んでいる。」
信長様の声で我に帰った。
「あ、ごめんなさい。」
長い人差し指が夕霧の眉間に伸び、ぐりぐりとほぐされる。
「っ!信長様!」
もう!っとむくれると今度は膨れた頬を両手で押される。
「そんな顔をしている貴様が悪い。」
「そんなに変な顔でしたか?」
「ああ。」
二人は顔を見合わせクスクスと笑い合う。
あ、これだ。
この方がいるから、どんな時でも嫌な日がない。
今日も雨のお陰で信長様と一緒に居られる。
天気がどうだろうと場所がどうであろうと、少しでも信長様と同じ時を過ごせる・・・それだけで幸せだ。
「やっぱり雨・・・大好きでした。」
あなたと一緒にいられることが私の幸せ。
終