第12章 百物語。・:+°政宗ルート。・:+°
蝋燭の炎が消え、何が起きているのか全くわからない。
誰かが蝋燭の火をつけてくれたようで部屋の中が再び明るくなった。
「何だったんでしょうか?」
「分からないな。風が吹いたわけでもないし・・・」
「三成の話が面白くなかったからじゃない?」
「では家康様のため息で消えたのでしょうか?」
「お前。言うようになったね。」
ガタガタガタガタガタガタガタガタッ
突然、隣の襖が音を立てる。
「いやっ・・・」
怖いっ!!
咄嗟に目を瞑り、身体をこわばらせる。
すると自分の左肩に何かが触れたかと思うと、グイッと右側に引き寄せられた。
「きゃっ・・・」
声を上げた瞬間、トスッと何かに顔を埋めた状態になった。
右耳にトクトクと規則正しい音が入ってくる。
「・・・政宗?」
でも、返事はない。
一番襖に近い秀吉がスッと立ち上がり襖を開ける。
開けた途端に何かが目の前に飛んできた。
「きゃああああああぁぁぁっ!!!」
慌てて政宗にしがみつく。
「みゃー!」
ん?この鳴き声・・・
「照月!?」
「みゃー!」
照月は頭を撫でて欲しそうに夕霧に顔を近づけた。
「何でここに照月がいるんですか?」
家康は怪訝そうに聞く。
「夕霧の遊び相手にでもなればと思って連れてきたんだが、連れて来てもいつも自分で御殿に帰るからな。・・・お前、まだ帰ってなかったのか。」
ツンツンと照月の眉間をつつく。
「フーッ」
照月が威嚇する。
「本当にお前は誰が主人か分かってんのか?」
照月はぷいっとそっぽを向き夕霧の膝に飛び乗った。
夕霧が撫でると嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らす。
「大方ネズミでも取りに入ったんだろう。なかなかいい暇潰しが出来た。そろそろ御開にしようか。」
光秀の一言で次々に席を立ち始めた。
おやすみと夕霧に声をかけ部屋を後にする武将たち。
部屋には夕霧と政宗と照月だけになる。
「よし、帰るか。」
スッと政宗が立ち上がる。
あ、あれ?・・・