第11章 百物語。・:+°三成ルート。・:+°
「み・・・三成くん・・・」
「ダメですか・・・?」
三成は思わず抱きしめた手を緩める。そして少し不安そうな顔を見せている。
「ううん・・・違うの。」
「私、凄く嬉しかったよ。・・・でも突然で何て言えばいいか分からなくて・・・」
「はい。」
「三成くんの気持ちは十分にもらったからもう少しだけ考えてもいいかな?」
簡単には答えを出せない。・・・いや、出したくない。
こんな真っ直ぐな愛の告白を受けたら同じくらいの誠意をみせないと三成くんに悪い。
自分の気持ちをちゃんと確かめて、三成くんに真っ直ぐに向き合う時間が欲しい。
「はい。もちろんです。」
三成くんは穏やかな笑みで答えた。
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数日後・・・
「お前っ!柱っ!!!」
ごんっ
酷く鈍い音が廊下に響く。
柱に頭をぶつけてしまい頭を抱える三成に秀吉が声をかける。
「大丈夫か!?」
今日の三成はいつも以上に酷い。心ここにあらずといった所か。
これで三成を心配したのは今日、何回目だろう。
初めは悩みでもあるのかと思ったがどうやら逆らしい。
「あ・・・すみません。嬉しくて嬉しくて・・・」
「本当に気をつけろよ。もう今日は自室に戻れ。」
「そうですね。そうします。お気遣いありがとうございま・・・」
ごんっ
「言ったそばから・・・」
何があったのかは想像がつく。
大切な俺の右腕である三成が夕霧と幸せになってくれるのは心から嬉しいのだが・・・
夕霧の兄としては・・・
もう少ししっかりしてくれないと三成に夕霧は任せられないな・・・
嬉しさと心配の混ざりあったため息をつく。
「三成・・・本当に頼むぞ。」
秀吉の心配事が増えるのはまだまだこれから・・・
終