第11章 百物語。・:+°三成ルート。・:+°
「・・・はっ・・・・・・くしゅん!!」
暗闇になると共に聞こえた音・・・
何処からともなくため息が聞こえる。
「本当、三成ってこういう所残念だよね。まぁ、いつもなんだけど。」
「興ざめだな。」
そんな声の中夕霧の左隣で火打石を打つ音がしたかと思うと、再び蝋燭に火が灯った。
「三成・・・また髪を乾かさなかっただろう。」
秀吉がため息混じりに三成に問う。
「あ、そういえばそうだったかもしれません。」
「お前な・・・頼むから自分に関心を持て。」
そういいながら手拭いを三成に投げる。
「秀吉様。ありがとうございます。」
秀吉から投げられた手拭いでガシガシと髪を拭く。
「・・・っ、冷てっ!!お前何でそんなに濡れてんだよ。」
政宗に水しぶきがかかったようで怪訝そうな顔で三成を見つめる。
「髪を拭き忘れていたようです。」
「髪なんか拭き忘れる事なんてないでしょ。よっぽどだね。」
「そう言うな家康・・・こいつならやりかねない事なんだから。」
「面目ありません・・・」
エンジェルスマイルを振りまきながら申し訳なさそうに謝る。
・・・どうしたら髪を拭き忘れるんだろ・・・三成くんらしいと言うか何と言うか・・・
「ふふふっ・・・」
こらえ切れなくなってつい笑ってしまう。
「こんな状態では続ける気にはなれないな・・・悪いが抜けるぞ」
光秀はスッと立ち上がり夕霧の側を通る。
「夕霧・・・」
「はい・・・?」
「褥に入る時はくれぐれも気をつけるといい。今宵は何が起こるか分からないからな・・・」
そう言い残し部屋を出ていった。
本当に光秀さんは意地悪だ・・・
せっかくさっき三成くんのお陰でいつもの空気に戻ったのに・・・
一気に恐怖した時間に戻された気分になる。
それに気づいた秀吉が顔を覗き込んだ。
「大丈夫か?光秀の戯れ言は真に受けるなよ。」
ポンと頭に大きくて優しい手が乗った。
これだけの事で気持ちが落ち着く。
「ありがとう。大丈夫。」