第10章 百物語。・:+°信長ルート。・:+°
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夕霧
「きゃあああああああぁぁぁぁぁ!!!」
夕霧が意識を飛ばした後、刀に手を掛ける音がいくつも響いた。
暗闇の中で殺気立った重たい空気・・・
三成が蝋燭に火を灯す。
部屋が蝋燭によって明るく照らされ、全員がその正体を知ることになる。
「信長様!!!」
信長
「誰も気配で俺だと分からんのか・・・阿呆どもめ。」
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夕霧を守る為とはいえ、信長に刀を向けようとした事にみんな大慌てだったらしい。
秀吉は腹を切りそうな勢いで面倒だったとぼやく。
秀吉さんならやりそう・・・そう夕霧は思った。
絶対やって欲しくないし、想像したくもないけど。
暗闇ではあったが主君に刀を向けたとなればあれだけ信長様の事を尊敬している秀吉なら死を持って・・・
なんて有り得ない話ではない。
もちろん信長もそんな事をしてもらいたい訳もなく。
そんな状況を想像していると
信長
「あやつら、夕霧の事となると周りが見えんようだからな。」
信長はフッと笑みを浮かべる。
夕霧
「それはないです。あれだけ叫べば誰であっても動くと思います。」
信長
「貴様は分かっておらんな。」
信長の手が夕霧の頬に触れる。
信長
「貴様はこの織田軍の必要不可欠なものになっている。」
フッと笑みをこぼしながら夕霧を抱きしめ直す。
信長
「だからと言って誰に譲るつもりもないがな。」
そういうと夕霧の胸元に顔を埋める。
夕霧の鼓動が直に伝わってくる。
この心の臓の騒がしさが妙に心地よい。
信長
「全て俺だけのものだ。」
終