第9章 百物語。・:+°光秀ルート。・:+°
月は雲に隠れ空には照らすものが何も無い。
そんな時蝋燭の炎が消え、部屋中が暗闇に包まれた。
何が起きたのか理解出来ずにいる所に自分の口を誰かの手で塞がれた。
もう一つの手が夕霧の腰に回り、抱きしめられた状態で廊下へと連れ出される。
一瞬の事だった。全く声も出せず、されるがままに部屋を出て今置かれている状況に気づく・・・
怖い・・・
必死に目を瞑り、身を固くする。
すると聞きなれた声が耳を撫でる。
「驚かせたな。すまない。」
夕霧
「・・・光秀さん・・・」
声の主は光秀だった。
光秀
「場所を変えるぞ。」
そう言うと夕霧を横抱きにして廊下の突き当たった奥の部屋に入り襖を閉めた。
夕霧
「光秀さん・・・どういう事ですか!?」
全く理解出来ない状況につい声を荒らげてしまう。
光秀
「分かったから声を荒らげるな。少し静かにしていろ。後で説明する。」
そう言うと再び夕霧の口を手で覆った。
それでも納得いかず必死に声を出そうとする。
光秀
「仕方ないな。」
そう言うと光秀は夕霧に強引に口付けする。
夕霧
「んっ・・・」
家康
「いましたか?」
秀吉
「いや。光秀・・・あいつ夕霧を連れ出すなんて・・・何考えてるんだ」
政宗
「最初からこのつもりだったのかもな。」
襖一枚先から声が聞こえる。
二人がいる部屋の襖がスッと開いた。
三成
「ここにもいません。」
パシンッと襖が閉まり、声も遠くなっていく。
声が聞こえなくなった頃に光秀は夕霧から唇を離した。
月が段々と雲から顔を出し部屋を月明かりが照らし始める。
夕霧
「どういう事なんですか・・・?」
目にはウルウルと涙が溜まっている。
光秀
「泣かせるつもりはなかったのだがな。」
そう言うと頭を優しく撫でる。
いつもと違う光秀の姿に困惑する。
光秀さんがこんな顔するの・・・初めて見た・・・