第8章 百物語。・:+°織田軍。・:+°
夕霧に順が回って来たが質問攻めで怖い話どころではなくなってしまった。
「電話ぼっくす?」
「こいんろっかー?」
いちいち説明する事に骨が折れる。
その後も何度か自分に順が回ってきたが飛ばしてもらうようお願いし、秀吉に順が回った。
一体今何話だろう・・・
みんながいるから何とかいられるけど・・・
私・・・みんなが帰った後眠れるんだろうか・・・
でも、このまま怪談ばかり聞かされるのも辛い・・・
秀吉が夕霧の顔を見て感づく。
秀吉
「大丈夫か?」
夕霧
「大丈夫・・・。」
光秀
「夕霧・・・止めるか?」
夕霧
「いえ・・・」
光秀
「それはよかった。お前の時代の百物語の縛りは知らんが・・・この時代の百物語は途中で止めるとまずいからな。」
夕霧
「え?」
夕霧は懸命に百物語の出てきた昔話を思い出す。
確か100話が終わって蝋燭を消すと・・・って話だった気がする。
敢えて99話で止めるなんて話も聞いた気がするんだけど・・・
光秀さんの意地悪?それとも・・・
夕霧
「大丈夫です・・・続けてください。」
光秀の意味深な笑みも気になるが、どちらにしてもこのまま終わりになってみんなが自分の御殿に戻るのも嫌だ。
怖い・・・
三成
「では私が話しますね・・・昔、近淡海に・・・」
キィー・・・・・・
何?今の音・・・
廊下板の軋むような音がした気がした。
暑いからと、夕霧が背にしている襖は開け放たれている。
先程までは暑い体を冷やす心地よい風が吹いていたのに、廊下で軋むような音がしたとすれば自分の背に誰かがいる事になる。
しかし、みんなの顔を見渡すが誰一人気づいてない様子だった。
気のせいだよね・・・
これだけ名だたる面々があつまっているのだ。誰か一人位気づいてもいいはず・・・
勘違いだと思いたい。
三成くんはそんな私に気づくことも無く淡々と話をしていた。
背中にいやな汗がツーッと流れて行く。
その時・・・
フッ
部屋が真っ暗になった・・・