第6章 俺だけのもの。・:+°秀吉。・:+°
もう一度口付けようと抱き締めていた体を離そうとすると、夕霧が抵抗するように秀吉の胸から顔を離そうとしない。
秀吉
「夕霧・・・?」
夕霧
「嬉しくて・・・でも恥ずかし過ぎて・・・顔が見られません・・・」
秀吉
「駄目だ。」
夕霧
「えっ?」
不意に顔を上げてしまう。
秀吉
「こんな可愛い顔、ちゃんと俺に見せてくれないのは駄目だ。」
更に赤く染まった顔が下を向かないように顎を掬い上げ、激しく唇を奪う。
夕霧には優しく、甘やかし倒すって決めてたんだけどな。
今はそんな余裕が自分にない・・・。
目の前にいる愛しい人を壊したいほどに求めている。
もしかしたら光秀の話を聞かなかったら・・・あの涙をみなかったらこんな行動には出なかっただろう。
笑顔も、泣き顔も、悩んだ顔も。全部全部俺の物にしたい。他の男には見せたくない。
相手を思って見せる表情なら尚更だ・・・
ここまで俺が独占欲が強いとは・・・今まで色々な女に出会ったがこんな事は初めてだ。
秀吉
「なぁ・・・夕霧」
夕霧
「はい・・・」
秀吉
「お前が・・・欲しい・・・」
コクンと頷いた事を確認すると頭を撫でる。
秀吉
「ありがとな。・・・でもやっぱやめとく。」
夕霧
「え・・・?」
秀吉
「今の俺はお前に優しくしてやれる自信が無いんだ。
・・・こんな欲望のままにお前と褥を共にしてもいい事なんてない。お前が傷つくだけだ。」
夕霧
「そんな事ありません。」
秀吉
「夕霧?」
夕霧は下を向いていた顔を上げ、秀吉を見つめながら続ける。
夕霧
「秀吉さんの全てが見たいんです。余裕がなくても、嫉妬したとしても、どんな秀吉さんでも受け入れたい・・・」
最後に「優しくてお兄ちゃんみたいな甘々の秀吉さんも大好きなんですけどね。」・・・と付け加え、夕霧は微笑んだ。
秀吉は胸に込み上げるものを感じながら再び激しく口付ける。
秀吉
「愛してる・・・」
今日はもう夕霧を離せそうにない・・・
終