第3章 カケゴト。・:+°信長。・:+°(R18)
「貴様と囲碁勝負をするのは久々だな。」
愛する人が発する低音の声に耳を傾ける。
夕霧
「本当ですね。何だか懐かしいです。」
夕霧は微笑みながら答えた。
パチンッという音が静かな天主に響き渡る。
その音に心地良さを覚えながら碁盤を見つめる。
ふと、信長様を見つめた。
いつもの様に手のひらの中で碁石を弄んでいる。
信長
「どうした?」
夕霧
「信長様との囲碁、心地良いなって・・・」
少し顔を赤らめた夕霧を見て信長はフッと笑みをこぼす。
信長
「久々の囲碁だ・・・賭けでもするか。」
夕霧
「え・・・?でも・・・」
みるみる夕霧の顔が真っ赤に染まっていく。
信長
「何だ、夕霧。何か言いたげだな。」
夕霧
「もう捧げるものが・・・」
すでに恋仲の二人。夕霧の言わんとする事に気づき、口角を上げる。
信長
「いや、いつでも捧げてくれればいい。」
信長の顔が近づく。
夕霧は信長の微笑みに顔を逸らした。
夕霧
「・・・近い・・・です。」
信長
「何を恥ずかしがる事がある。貴様の全てを俺は知っている。例えば閨の時の・・・」
夕霧
「それ以上はやめてくださいっ!!」
夕霧は真っ赤になりながら慌てて耳を塞いだ。
信長はそんな夕霧の顎を片手で持ち上げ視線を無理矢理合わせた。
目があった瞬間耳を押さえていた手はダラリと下に垂れる。
信長
「冗談だ。」
そう言うと目を細め夕霧に優しく口づけした。
信長
「でもせっかくだ・・・賭けはしたい。」
夕霧
「でも、何を賭けたら・・・」
信長が何かを思い出したかのように席を外す。
不思議そうな顔で夕霧は信長の帰りを待つ。
戻ってきた信長の手にあるのはワイン。
信長
「今日の賭けはこれにする。」
夕霧
「どういうことですか?」
夕霧は信長の意図する事が見えてこず、不思議そうな顔をした。