第2章 刺激的な口付け。・:+°家康。・:+°
「夕霧・・・?」
家康は袂から包を取り出し中身を一つ摘むと、呼ばれた声に振り向いた夕霧の口の中にコロンと入れた。
それは入れた途端ほわっと甘みが広がり、すっと溶けて無くなった。
「笑ったお詫び。」
そう言うと、家康は包からまた一つ摘んで夕霧の口に入れる。
それは先程と同じ様に入れた途端に甘さが広がってすぐに溶けてしまった。
これどこかで食べた事がある気が・・・
思い出す暇もないうちにもう一つ口に入れられ、今度は家康に唇を塞がれた。
今度は先程の口付けとは違ってゆっくりと舌を絡める。
やんわりと歯の裏を撫で、念入りに舌の上を滑らせる家康の舌に夕霧は身を委ねた。
じんわりと甘さが広がっている唾液は、先程までピリピリと痛かった舌を和らげてくれる。
あ・・・辛くなくなってきた。
仕上げと言わんばかりに家康がチュッと音を立ててゆっくりと唇を離したと同時に、夕霧はこくんと甘い唾液を飲み込んだ。
「家康・・・これっ・・・」
「ああ、これ?」
家康は先程の包を開いて夕霧に見せる。
「これ・・・ボーロ?」
「うん。軍議の合間に茶請けで出されたんだけど夕霧にお土産と思って持ってきた。」
残りが入った包を夕霧に手渡す。
「持って来て正解だったね。」
「ありがとう。おかげで辛くなくなったよ。」
ニッコリと微笑んで包を大切にしまった。
「ねぇ、家康?」
ふと思い出したかのように夕霧が家康を呼ぶ。
「気になったんだけど・・・さっき何で笑ったの?」
「・・・内緒。」
絶対言わない。嫌われたと思ったなんて。
それが見当違いで安心して笑ったなんて。
夕霧の前では素直になりたいけど女々しい所は見せたくない。
「ずるいよ家康。」
拗ねる夕霧に少し余裕のある顔つきで笑ってみせた。
「じゃあもう一回一緒に食べる?」
終