第21章 はんぶんこ。・:+°幸村。・:+°side姫
佐助くんは何も言わず黙って全てを聞いてくれ、全部を話し終えた時口を開いた。
「ここ最近、幸村が来てたのは俺の部屋なんだ。」
「え?」
その言葉にびっくりしてそれ以上言葉が出ない。
「俺の部屋の予備の布団で明け方まで寝てまた部屋に戻って行くよ。」
「何で・・・」
「すまない夕霧さん。幸村も言いたくなさそうだから敢えて聞かないようにしてたんだ。」
訳が分からずぐるぐると思考を巡らせるが答えに辿り着ける訳もない。
「お節介だけど・・・もう一度幸村に聞いてみたらどうかな?今ならお互いに話し合えると思う。」
「そうだね!ありがとう佐助くん、私幸村の所行ってくるね。」
「それは必要なさそうだ。」
その言葉と同時に襖が開く。
そこには今まさに会いに行こうとしていた幸村の姿。
「幸村・・・」
「じゃあお邪魔な俺はこれにてドロン。」
そう言うと佐助くんは天井裏へ消えて行った。
「・・・」
沈黙が続く中、勇気を振り絞って口を開く。
「「あのっ・・・」」
二人の声が重なってお互いに目を丸く見開く。
「幸村から話して。」
「お前から・・・いや、俺から話す。」
そう言うと覚悟を決めたかのように話し始めた。
「佐助から聞いたかもしれねーけど、夜中にいなくなったのは佐助の所に行ってたからだ。そこで寝てお前が起きる前に戻ってた。」
真っ直ぐ瞳を見つめながら話す幸村の表情は真剣だ。
「何で・・・そんな事・・・」
最後まで聞くつもりでいたのについ口からついて出てしまう。
「毎晩、お前に夜着を取られて目が覚めて・・・でも捲ると気持ち良さそうに寝てるから起こしたくなかった。だから目覚める前まで佐助の部屋で寝てた。」
「バレてねーと思ったんだけどな。」
そう苦笑する幸村に開いた口が塞がらない。
「起こしてよ・・・悪いのは私なんだから!」
「あんな可愛い寝顔みたら起こせねーよ。」
「っ・・・」
その言葉に顔が上気する。
「・・・言いたくねーって思ってたんだけどな」