第20章 アドベントカレンダー。・:+°信玄。・:+°
「こんな感じでどうだろう。」
「うわぁー!さすが佐助くん!それっぽい!」
割と暖かさも残っている11月の末日。
春日山城の一室で佐助と夕霧の和気藹々とした声が響く。
「夕霧さん、良く思いついたね。」
「現代にいた時は毎年この時期になると可愛いのがたくさん出ててつい毎年買ってたの。ここだと買えないから。」
そう言うと、数字の書いてある引き出しを一つ開けて包み紙に小さく包まれた金平糖を入れる。
「これ、アドベントカレンダーって言うんだね。」
毎年買っていたのに名前も知らなかったことに苦笑いしつつ佐助の方を見る。
「アドベントカレンダーは19世紀初頭に・・・」
「あぁぁぁっ!説明は大丈夫!」
佐助くんが物知りなのはよく分かってる。ただ、長い。
「そう?それならいい。ねえ、夕霧さん。木製のアドベントカレンダーなら信玄様の方が絶対に上手に作ると思うんだけど・・・」
それは夕霧も分かっている。だがそれでは意味がない。
「今回のこれは信玄様に・・・」
「俺が何だって?夕霧。」
「し・・・信玄様!?」
知らないうちに真後ろに立たれ、気づけば後ろから抱きすくめられている。
突然の事に驚く夕霧に信玄は優しく微笑みかけた。
「天女が俺を呼んでいる気がしてな。お、これは何かな?」
信玄は正方形の小箱を重ねてツリー形になっているアドベントカレンダーをマジマジと夕霧の顔の横から覗き込む。
こういう時の信玄様って可愛いな・・・。
子どものように好奇心旺盛な信玄に少しときめきつつ、夕霧は答え始める。
「あとで見せようと思ってたんですよ。これはアドベントカレンダーって言ってクリスマスまでの期間に日数を数えるものなんです。」
「くりすます?」
あぁ、そうか。信玄様にはそこから説明しなきゃ・・・
そう思っている横から佐助くんがすかさずフォローしてくれる。
「海の向こうの国では神様の誕生日を祝う日なんです。500年先では子どもから大人まで楽しめる行事になっています。」