第20章 アドベントカレンダー。・:+°信玄。・:+°
「ほう。それでこれはクリスマスまであと何日か数えるものなのか。」
「はい。これにお菓子なんかを入れて毎日一つづつ引き出しを開けていくんです。」
「その菓子は食べていいのか?」
心なしか信玄の顔がワクワクと子どものようになっているような気がする。
「はい。これは私から信玄様に贈ろうと思っていたので・・・まだ中身が入っていないので待っていてくださいね。」
「ああ。楽しみにしている。」
信玄はそう言うと夕霧の髪を一束掬い上げ口付けを落として部屋を出ていった。
「いつになく嬉しそうだったな信玄様。」
「あんな子どものような顔するんだね、可愛い。」
教科書に出てきた武田信玄からは全く想像もつかない。
信玄様が好きなお菓子を入れてあげよう。
「お、何してんだ?」
声の方に二人で顔を向ければ、そこには襖からひょこっと顔を出した幸村。
「ああ幸村、これは・・・」
佐助が細かく説明すると幸村はふんふんと頷きながら引き出しを開け閉めしている。
「・・・そこにお菓子を入れておいて1日一つ引き出しを開けて食べるんだ。」
その言葉にピクリと反応した幸村。
「引き出し一つしか食べれないんだよな?」
「ああ、数字は日付を示してる。その日にならないと引き出しの中身は食べてはダメなんだ。」
「そりゃ名案だな。これで信玄様には甘味を控えて貰えるかも・・・」
幸村は顎に手を当て真剣な眼差しでアドベントカレンダーとにらめっこしている。
本当に信玄様の体の事考えてるな・・・
「少しは控えてくれるといいね、甘味。」
「ああ、最近何だかんだと理由をつけて甘味を食べてるからな。」
苦笑いしながら開けていた引き出しをパシッとしめた。
その日の夕餉
「明日から十二月だ。雪の降る前に刀を振るう場を作れ、佐助。」
「雪が降っても降らなくても刀を振るう必要はありません謙信様。」
夕餉も終わる頃、いつものやりとりをしている間に夕霧は襖の裏に隠していたアドベントカレンダーを取りに行き、信玄の前に座った。