第19章 お手伝い。・:+°秀吉。・:+°
秀吉は思う。
なぜこんなに無防備なのか・・・
妹だと思っていた時以上に心配は尽きないな・・・
苦笑いを浮かべながら物音のする方へと夕霧と一緒に向かった。
物音のする方は昨日一騒動のあった三成の部屋。
家臣達が次々と書物を運び出し、女中達が掃除をしている。
「まるで引越しだな・・・」
目の前の事態に唖然とする秀吉と夕霧に家臣が駆け寄る。
「おはようございます。朝から騒がしく申し訳ありません。」
「いや気にするな。何があった? 」
「今朝、女中が三成様の部屋を通り掛かると凄まじい事になっておりまして・・・総出で片付けている次第です。」
「「あ・・・」」
二人は昨晩、部屋を荒らしたままだった事に気づく。
「三成は・・・?」
「隣の部屋でお休みになっておられまだ起きていらっしゃいませんが、女中達が片付けるなら今だと・・・」
「責任は俺が取る。好きにやってくれ。」
「御意」
そう告げると家臣は片付けに戻る。
「すごい事になってるね・・・」
「女中達が三成の部屋をいつも片付けたがってたからな。」
なるほど。だからどの女中さんもイキイキしてるのか・・・
今まで気になっていた三成の部屋を掃除出来るのだ・・・願ったり叶ったりだろう。
「三成くんが起きたらどんな顔するんだろうね。」
「さぞかし驚くだろうな・・・まぁ、あいつにはいい薬だ。」
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おまけ
「ん・・・良く寝た・・・あ、そう言えば隣の部屋で夕餉を食べてる最中に・・・」
太陽が登りきった頃に目が覚めた三成。
いつもと違う天井に少し動揺したものの、昨夕の状況を思い起こして自分のいる場所を確認する。
隣の自室へ戻ろうと襖を開けた。
スッ・・・
「あれ?おかしいですね・・・私の部屋に似ていますがまさかこんなに片付いている訳ありませんね。」
家臣達に徹底的に片付けられた部屋がまさか自室だとは思わず・・・
彼が自室だと理解するのはもう少し刻が経ってから・・・
終