第8章 加速
いつも通り仕事して、今日も先輩と飲みにいった。
郡先輩は愚痴がほんとに多い。
特等って疲れるんだなあ...って思うし、先輩は苦労人なとこがある。
面倒見がいいし好きなんだけどね、私は。頼りになるし、かっこいいし。強いし。
だから愚痴くらいいくらでも聞いてやろうと思った。
郡「毎日のように私の愚痴聞くの嫌じゃないの?」
「そう思ってたら一緒に居酒屋なんて来ませんよ。」
郡「私はほんとにいい部下を持ったなあ…」
「えへへ…」
途中まで送っていくよと言われ、お言葉に甘えた。
意外に先輩と私って身長差あるんだなあ...
郡「ねえ...ちさきはさあ、ほんとにいやじゃない?私みたいな面倒な上司。」
郡先輩の目がいつもより寂しげだった。
ああ、この人は...一人になるのが怖いのか。失うのが怖いのか。
感情が伝わりすぎて、喉の奥が詰まる感じがした。
「なんでですか!先輩は強くて面倒見よくてかっこよくて頼りになるすんごいいい上司ですよ!」
思わず声が大きくなった。
郡「よかった」
先輩は今まで見たことのない顔をした。
私は、その表情を目に焼き付けた。
もう一度でいいから、この顔が見たいと思った。