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こうして愛に溺れてく。【ONE PIECE】

第2章 プロローグ


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大きな揺れで足元が不安定になる。



「…もう来てしまったか」

「そうね。早く私たちも準備をしましょう」



両親が踵を返したのが分かった。



『お父さん!お母さん!待ってッ!!!!』



私と一緒に逃げよう、と今まで出したことのない大声で泣きながら鉄の扉を叩いて訴えかける。


お願い、扉を開けて……、弱々しい叫びが地下路に響く。



「エマ。元気でね」


「ごめんな、エマ。父さん達のためにどうか生きてくれ」



またね、とまたが来ることがないと知っていていう両親は残酷だ。


嫌だと泣き叫ぶ。


その間にも揺れは激しくなる一方で、ついに叫びすぎて喉から血の味がした。



”どうか生きてくれ”



その言葉が頭をよぎり、そっと扉に手を当ててゆっくりと立ち上がる。


涙を腕でぬぐい、クルリと前を向いて顔をあげた。


後ろ髪を引かれながらしばらく歩いたところで、カバンから黒い大人用のロング丈のフード付きマントをフードまでキチンと羽織って小舟へ乗り込んだ。


ポケットから開発したミラクルボールを取り出す。


ミラクルボールはその名の通り透明になれたり半径1mぐらいまでバリアが貼られ防御ができる。



『ミラクルボール、ハイド』



ポツリ、呟いて舟を漕ぎ出す。


傍から見れば私の存在や、それどころか小舟すら何も見えない。


私が触れているものや近くにあり意識したものが見えなくなる優れ者だ。


ある程度、島から離れると振り返ってみた。


雄叫び、泣き叫ぶ声、砲撃を先導する声。


思い出のつまった島はゴウゴウと燃え上がっている。


この中で両親や友人や知人たちが戦っているのだと思うと涙がこみあげてくるが拳を握りしめて耐える。














『…さようなら』












ポツリと別れの言葉を告げて、私は再び舟を漕ぎだした。




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