第2章 プロローグ
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とある小さな島国。
そこには生まれつきIQの高い者達とその中でも島国で1人だけ受け継がれる特殊能力を持つ者がいた。
特殊能力を持つ者は2年間だけ2人同時に存在する。
それは先に特殊能力を持ったモノは、後から特殊能力を獲たモノが誕生した2年後にこの世からいなくなることを示している。
その2年間という歳月の中で能力の使い方、熟し方を伝授するのが先に能力を獲たモノの使命だ。
ある日、特殊能力を持つ赤子が誕生した。
赤子は他のどの子よりもIQが高く優しく、よく笑っていて、そしてなにより誰もが羨む程の美しい容姿をしていた。
彼女の名は、エマ。
師匠と慕っていつも後ろをついていっていたが別れがきた時
、エマは涙を流さなかった。
いや、流せなかった。
当時は2歳。
他のどこ子よりも悟く、賢く、死というものをキチンと理解していた。
泣いたところで周りを心配させるだけで師匠がもう帰ってこないことを解っていた。
それからというもの料理や勉強、趣味の研究に没頭するようになった。
研究室はかつて師匠の研究部屋。
師匠の家はもうエマのもう一つの家となっていた。
師匠が亡くなってから2ヵ月、書庫で見つけた興味深い本。
悪魔の実図鑑だった。
そういえば会って間もない頃、悪魔の実がどうのとか言っていた気がする。
立ち読みしていたらハラリとメモのようなものが落ちた。
なにも珍しいことはなく、もともと師匠はエマが興味を持ちそうな本やものに更に研究心を燻られるような情報をメモとして挟んだり貼ったりして残しているのだ。
今度は何だろうと拾ってみてみる。
・「海の悪魔の化身」と言われる果実
・いかなる生物が食べても能力を得られる
・実を一口でもかじるとその時点で食べた者に能力が発現し残りの実はただの果実となる
・能力者に対して「海楼石」「武装色の覇気」が主な対抗策
・同じ悪魔の実が同時期に世界に2つ存在することはないが能力者が死ぬと世界のどこかにその能力を秘めた悪魔の実が復活する
・泳げなくなる
・2種類以上の実を食べることができない
…殴り書きでそう書かれていた。
彼女の興味を惹かれさせるのには充分すぎる情報だった。
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