第4章 葉は緑、空は雨色
「なんだよ、今日も雨かー」
朝だっつーのに、外はすっきりしない天気が続いてる。
別に雨が嫌いなわけじゃないけど、せっかくの関東大会最終日・・・晴れて欲しかったな、と思う。
今年も総司先輩が優勝すんのかな。いや、俺も負けねえし!とかなんとか意気込みながら、雨が降る見慣れた道を歩く。
学校への道を通り越して駅まで行けば、一君と千鶴の姿があった。
「おお!一君!千鶴!おはよう!」
普段あまり乗らない電車だから、見知ってる顔に出会えて嬉しかった。
「平助君おはよう。」
千鶴がにっこりと笑う。
あれ?千鶴ってこんなんだったっけ?
千鶴とその兄貴の薫とは、家が近所で、幼稚園に入る前から友達だ。
まあ、千鶴なんて妹みてえなもんなんだけど・・・
あれれ?
改札を抜けたところで、一君になにやら話しかけてる千鶴を見れば、なんだか毎週買ってる漫画雑誌の表紙にでもなりそうなほどの笑顔だった。
たわいもない会話をしながら、三人で電車に乗り込む。
思いのほか混んでいて、その距離は近くなった。
見下ろせば千鶴の頭のてっぺんが見える。
千鶴ってこんなに小さかったっけ?
俺とあんまり背丈が変わらなかったと思ってたのに。
うーん・・・
「------平助君もそう思うよね?」
やべ、全く聞いてなかった。ふいにふられた会話に、適当に返事をしつつ、このよく分からない違和感を考え続けた。
次の駅に到着すると、同じドアから夢主(妹)が乗ってきた。
「おっはよ!!」
こいつはいつも元気だ。
さらに混みあった車両内で、その距離は近い。
電車が大きく揺れて、トン、と夢主(妹)のおでこが俺の胸あたりにあたった。
「あ、すみません。」
おでこを抑えながら、俺を見上げてそう言う夢主(妹)は、混みあった車内のせいでものすごく近い。
「ん・・・おお」
なんだか気恥ずかしくて、変な返事を返してしまった。
なんなんだ?これ?
千鶴といい、夢主(妹)といい・・・
毎日部活で会ってるのに。