第4章 葉は緑、空は雨色
相変わらず原田先生は私をじっと見つめたまま、黙って聞いてくれてる。
そのまま無言で泣き続けて、両手で目をおさえた。
気がつけば、原田先生のにおいがおでこにぶつかる。
「…近づくなってば!」
「知らねぇよ。」
先生はぎゅって私を抱きしめる。
「…おつかれさん。まぁしばらく辛いだろうけどな。泣きたくなったら俺のとこに来ればいい。」
原田先生の胸で私は子供みたいに声をあげて泣いた。
「――夢主(姉)ちゃん?」
あ…しまった…
思い出してうっかり涙が…総司がいたの忘れてた。
「…なんでいきなり泣いてるの?」
「…思い出し泣き。」
「エロいね。」
そう言う総司は、今日はなんだか様子がおかしい。
ふぅ…と小さく溜息をついて、
「僕達って…損だよね。いろいろ。」
遠くを見ながらそんなことを言い出した。
やっぱりなんか変。
総司とは一緒にいる時間が長いけど、こんな総司ははじめてかも。
いつのまにか止まってた涙を拭いて、総司が見てるまだ雨雲が残る遠くの空を見る。
生暖かい風が屋上に吹いて、なんだかすっきりしない空気が流れていた。