第2章 サクラ散る頃
三限目は体育だ。今日は校庭を走らされるのだろう。走るのは嫌いではないから、どのくらい走れるものか試したくもなる。
グラウンドでは、1年と思われる集団も体育の授業をしていた。
その中に……雪村の姿を見つけた。
…様子が何かおかしい、と思った瞬間――
パタリ
と、雪村は倒れた。
1年の体育を受け持つ原田先生が雪村を横に抱き、走って校舎に入る。
南雲も授業を飛び出して、その後を追っていった。
倒れた雪村が気になるが、南雲はともかく俺には行く理由がない。そのまま体育の授業を続けた。
四限目のはじまるチャイムがなる。
雪村を追いかけた南雲は、あの後すぐに戻ってきた。ただの貧血だということだが…もう意識は取り戻したのだろうか。
四限目が終われば昼休みだ。保健室に様子を見にいこうか…
ちょっと待て。
俺は何を考えた?
雪村は俺となんの関係もないだろう。
それでも四限目の授業の間中、今朝の雪村の顔を思い出してしまった俺は、今頃保健室にいるであろう雪村のことが気になって仕方がなかった。