第2章 サクラ散る頃
風呂と夕食を済ませて自室へ戻る。
充電器に差し込まれたスマホを確認すれば、雪村とのたわいのないメッセージは続いていた。
俺は…
向き合わねばならぬ事柄を考える。
…俺は最低だ。
心臓がバクバクと早くなる。
俺は…
今まで、毎日夢主(姉)のことで頭の中は埋まっていたはずだ。
だが…
今は、夢主(姉)との会話が思い出せない。
時計をみれば23時…今まで連絡をしなかった日はない。
夢主(姉)にメッセージを送ろうとしても、文章が思いつかない。
電話をかけようと思っても…通話ボタンが押せなかった。
落ち着け俺、と、夢主(姉)のことを考えようとしても、
脳が思い出すのは、雪村のことばかりだ。
俺は………
心の奥にたどりついた時、さらに心臓が早くなる。
眩しくて眩しくて…早く追いつきたくて…と、毎日のように想っていたはずの夢主(姉)の姿ではなく、
ふわりと頬を赤らめて微笑む雪村の顔が浮かぶ。
夢主(姉)のLINE画面を開いたまま、俺はどうすることもできなかった。
気がついてしまった自分の心すら、これからどうするべきかわからない。
ベットに横になりながらも、眠りにつくことはできなかった。