第2章 サクラ散る頃
「先生…優しいね。」
原田先生の優しさに、甘えてしまってる。この人を好きになれたら、好きになってもらえたら…幸せかもな…なんて勘違いしてしまいそうになる。
「ん?優しかねぇよ。つけこんでるだけだから気にすんな。」
「つけこんでる?なにそれ…」
もう、あんまり何も考えずに甘えることにしよう。
原田先生の隣に移動して、肩に頭をつけて、思いっきり息を吸い込んだ。
「……先生のにおいって……やっぱ落ち着く」
ぽつり、とこぼせば、
「そりゃよかった。」
と、私の方は向かずにそう言われる。
しばらくの間、先生の肩に額をつけて、腕にまとわりついていた。
ふと、気がついた。
原田先生にこうやって甘やかされるのが心地いいって知ってる気がしてきた。
私はずるい。
一君があのコといるのは嫌なのに、私は原田先生に甘えてる。
もっと…先生に甘やかされたい…そんな風に思えてきた。
まずいな…と思って、原田先生から体を離した。
「…どうした?」
考えこんだ私の顔を、原田先生は覗きこんでくる。
だめだよ先生…私はもっと甘えたくなってしまってるんだよ。悩みなんて放り出して、今は先生に甘えたい。
「…私はずるくて嫌な女だなって……思って。」
「いいじゃねぇか。」
「私…今、先生に甘やかされるのがちょっと心地いいって思っちゃった。」
「かまわないぜ?言ったろ?つけこんでるだけだから気にすんなって。」
「…もっと先生に心配してもらいたくなるっ」
「上等だ・・・」
原田先生は私を抱きしめてくれた。
先生のにおい…やばいな…くせになりそう…
そう思いながら、私はぎゅっと腕に力をこめた。