第2章 サクラ散る頃
一君と私を繋ぐものってなんだろう…
………………何もない
そう思うと、またひとりぼっちになったような寂しさが込み上げてきた。
一君のことを考えると、学校のことも思い出す。
私っていったいなんだろう…なんてぐるぐると考えてしまう。
苦しい…どうしよう…
「泣きたい時はいつでも貸すぜ」
原田先生が言ってた言葉を思い出した。
原田先生なら…私の今のぐるぐるしていて取り留めのない頭の中の話を聞いてくれるかな…
でも…明日は学校ないし…
原田先生の大人のにおいを思い出す。
包まれてるような…ほっとするにおい。
私はいてもたってもいられなくなって、住所録を取り出した。
原田先生の電話番号が書いてある。
思い切ってその番号に電話をかけた。
……出ない。まだ学校かな。
っていうか…私何やってるんだろ。先生に電話するなんてどうかしてる。
そう思って、切ろうとした時、
「………はい」
不機嫌な声がした。
「あ、あの…原田せんせ?」
今更緊張する。
「?」
「あの…苗字夢主(姉)です…」
「!」
原田先生は電話越しでも驚いてる様子がわかった。
「夢主(姉)…どうした?」
原田先生の優しい声がする。涙がぽたぽた落ちてきた。
「…せんせ…いの声…聞きたくなった」
涙がどんどん出てきてうまく話せない。
「…おい。今どこだ?」
「…い…え」
「……携帯の番号教えろ。」
言われるがまま携帯番号を言ったら、「わかった」と言われて電話を切られてしまった。
まだ話をしていなかったのに。
携帯番号を教えたからかけ直すってことかな?と思って待っていても、一向にかかってこないから、もう一度、先生に電話をしてみた。
先生は出ない。
涙が止まらない。先生にだったら聞いてもらえると思ったのに…
夢主(妹)が帰ってきた音がした。
やばい…泣いてるとこ見られたら、きっと心配する。
そう思うのに、涙はどんどん出てきて、泣き止むことができなかった。