第2章 サクラ散る頃
やっと来た!放課後!
お姉ちゃんが土方先生に校内放送で呼び出されてた。
ちょっと心配だけど、たぶん大丈夫。まあいいや、と考えないことにした。
うきうきしながら剣道の道具一式を抱えて、千鶴と一緒に体育館を目指す。
「夢主(妹)ちゃんの剣道やってるところ見るの楽しみだなぁ。」
「とかなんとか言って、斎藤先輩もいるしね?」
「ふふふ」
二人できゃいきゃいと話をしながら歩いた。
体育館に着くと平助先輩が部室に案内してくれた。平助先輩はとっても気さくで話しやすい。
一応女子部員の為の着替えスペースがあって、そこで私は着替えた。
袴になると、気分が引き締まる。
ああわくわくするなぁっ。
昨日見た沖田先輩と斎藤先輩の試合は、本当にすごかった。私もあんな風に立ち回りたい!
自己紹介やら、ウォーミングアップやらが終わり、今日の練習メニューを、井上先生がそれぞれに指示してる。
私は何からやるんだろう。
「夢主(妹)ちゃん、僕と手合わせしようか。」
「ええっ!?」
「夢主(妹)ちゃんの剣道を知るには一番いい方法だと思うんだよね。」
「そうだねえ。うん、総司と一度やってみようか。」
「はいっ!!」
緊張するけど…沖田先輩に私の剣道を知ってもらいたい!
沖田先輩と向かいあって礼をする。井上先生の合図で、試合は始まった。
結果は、もちろん沖田先輩の勝ち。負けたのに、まだ興奮が体中に残ってる。
それにしても…私が通う道場の師範より…隙が全くなかったし、動きが全く見えなかった。それに構え直す時の姿勢がすごーく綺麗。
改めて沖田先輩を凄いなぁと思う。
「なかなかやるね、夢主(妹)ちゃん。」
いつものニヤニヤした感じではなく、すごく優しい笑顔で私を見ていて、ドキリと心臓が飛び跳ねた。