第2章 サクラ散る頃
向かった先は生徒指導室。先生と向かい合わせで座る。
「……気にすんな」
タバコに火をつけて、ふぅ~っと一息入れてから、土方先生は静かな声で言う。
気にすんなと言われても…気にする。
一君との関係を知ってる人はあんまりいないと思ってとけど…知ってる人はみんなそんな風に思っていたのかな?
たぶらかす…?ってなんだろう…
そう見えるのかな…
「…悪かったな。」
いきなり土方先生に謝られた。
なんのことだかわからずに、ぽかんとしていると、
「俺があんな呼び出し方したせいで、変な注目浴びちまっただろ。」
ああ…そんなこと…別にいいのに。土方先生って怖いけど結構優しい。
「夢主(姉)、どうした?いつものお前なら、さっきあんなこと言われてもうまくかわせたんじゃねぇのか?」
いつもなら、先生達にいろいろ言われても気にしないし、適当に流せる。たしかに…私どうしたんだろ。私がどうかしてるっていうより…
「タイムリー?」
「は?」
「いろいろ悩めるお年頃なんですよ〜」
「……てめぇ」
土方先生は呆れた顔をしてタバコを吸ってる。
「ねえ先生。」
「なんだ」
「私はどうしたらいい?髪の毛黒くして、スカート膝下にして、授業まじめに受ければいいの?」
あれれ?涙が出てきた。
「……話せ。聞いてやる。」
先生はそう言ってくれたけど、私にもわからない。ただ、苦しい。学校のこと?一君のこと?それとも私ってなに?みたいな変な疑問達が浮かんでくる。
…だめだ。うん。
「帰る」
「おい」
先生から逃げるように、生徒指導室を飛び出した。