第11章 夏の終わりと蝉の声
「僕、寂しがり屋だよ?」
「はい」
「すごく寂しがり屋かもしれないよ?」
「はい」
「すごく嫉妬深いかもね」
「はい」
「すごく飽きっぽいし」
「はい」
「すごく飽きないかもしれない」
「はい」
「食べ物の好き嫌いは多いし」
「はい」
「すごく意地悪したくなったりするし」
「はい」
「そんなんでもいいの?」
僕の言葉に、時折少し笑いながら返事をしてくれる夢主(妹)ちゃん。
今更嫌だって言われたって離す自信は無いよ。
「はい!そんな沖田先輩が大好きです。まだ見たことない沖田先輩の事だって、大好きになる自信ありますっ」
満面の笑みで応えてくれた夢主(妹)ちゃんは、そう言い終えてから、
「あっ…えっと…その…」
なんて赤くなってる。
「あははは。顔真っ赤だよ?ありがとう。僕の事…全部好きになってくれるの?」
「はい!大好きになります」
「んー…僕、エッチだからね?」
「えっ?!」
「エッチな僕も大好きだなんて…夢主(妹)ちゃんエッチだなぁ」
「ちょっ!沖田先輩!」
真っ赤になってる夢主(妹)ちゃんの唇に軽くキスをすれば、湯気が出ちゃうんじゃないかってくらい赤くなった。
いつもだったら、ここで口をパクパクさせたりして固まっちゃう夢主(妹)ちゃんは、今はいつもとちょっと違う。
負けじと僕を見上げるその瞳は、じっと見つめてくれてる。
こんなにまっすぐ僕を好きになってくれる事が、僕にはきっと怖かった。
まっすぐな瞳で、どこか歪んでる僕を見つめられるのが怖かった。
でも…入学式の日、赤チンを取り出したとこを見た時から、この子に僕を見つめてほしかったのかもしれない。