第11章 夏の終わりと蝉の声
「夢主(妹)ちゃんの様子がおかしかったから…やっぱり気になっちゃって…。もしよかったら今日うちに泊まりに来ない?」
雨が上がって、アイスでベトベトになった手をコンビニで洗わせて貰って…千鶴から着信があった。
最近は斎藤先輩とばっかりいる千鶴と、あんまり話をしてなかった気がする。
「最近あんまり夢主(妹)ちゃんと話してなかったから、久しぶりに二人でいろいろ話したいな。」
って千鶴が言ってくれたのが嬉しかった。
平助先輩は千鶴の家の近くだから、千鶴の家まで案内してくれて…私のコト好きって言ってくれた後なのに、ちっとも気まずくなかった。
千鶴の家の前に着いて、
「夢主(妹)!またアイス食おうな!」
って笑う平助先輩は、お日様みたいな笑顔で…。
千鶴の家に来てからしばらく二人で近況を話してたんだけど…お兄さんの薫先輩が帰って来た。
薫先輩は高熱があって、辛そうで、とりあえず私がスポーツドリンクやら冷えピタやらを買いに走って…薫先輩が眠りについた頃、私は帰った方がいいかなー?って思って、帰ることにした。
申し訳なさそうな千鶴に、また今度ねって笑顔で言って、玄関を出たとこで千鶴のお父さんに会って、そのまま車で家まで送ってもらった。
なんだか今日は盛りだくさんで…まだ沈みきってないお日様よりも先に眠っちゃいそう。
平助先輩の笑顔は、本当にお日様みたいにカラッとしてて…虹みたいに元気になれる。
ーー俺じゃダメ?
いつもより少し低めの平助先輩の声が頭の中をこだまする。
私は…
千鶴のお父さんにお礼を言って、車を降りた。
鍵を出そうと鞄を漁っても、なかなか見つからなくて、仕方なくチャイムを鳴らす。
ピンポーン
お姉ちゃんいるかな?
いなかったらコンビニに行こう。
眠いなぁ…