第10章 【番外編】対煩悩戦の始まり
全然物足りない。
もっとキスをしたい。
もっと触りたい。
もっと・・・触って欲しい。
自分が変になるのが分かる。
「もういっかいして?今のキス・・・すごい気持ちいい・・・」
膝の上に乗っかったままで、さらにさのすけの胸にぎゅう、と密着した。
「お前な・・・」
何故かすごく困った顔をしてるさのすけの指が唇に触れて、そのまま私の唇をなぞる。
唇をなぞっていた指が耳まで来て、耳を撫ではじめた。
「んっ」
やっぱり耳に触れられるとすごく気持ちがよくて、くすぐったいわけじゃないのに、変な声が漏れた。
「はぁっ・・・んんっ」
無言で私を見つめたまま片耳を撫で続けるさのすけに、なんだか変な気分になる。
もっと・・・もっと触って。
指を耳に入れてみたり、そのまま耳たぶを撫でたり・・・無言で続けるさのすけに、
「キ・・・キスして?」
と、言ってみた。
ゆっくりと顔が近づいてきて、そのまま目を閉じれば、あったかい欲しかった唇が重なる。
そして再び口の中に舌がゆっくりと入ってきて、耳を触れられながらなのか、キスが気持ちいいからなのかわからないけど・・・
「んはぁっ」
なんて、自分で出してびっくりするくらいいやらしい声を出してしまった。
それでもさのすけの舌も耳にある指も止まらない。
指は耳から首に下がってきて、首筋を撫でる。
「んんっ」
くすぐったいわけじゃないけど、その感触に勝手に反応して、背中が反った。
その反動で唇が離れると、今度は首筋に唇が触れた。
ペロリと舐めあげられれば、またもや変な声が漏れる。
これは…まずいんじゃ?
まずい?
まずくない。
もっとして欲しい。
そう思ったのに、
「…今日はここまでだ」
と、止められてしまった。
「飯、作ってくれるんだろ?」
膝から私を下ろして、さのすけは立ち上がると、「ちょっとタバコ吸ってくる」と、外に出て行ってしまった。
さのすけ…左之助から見たら、私はまだまだ子供で…もしかして魅力?フェロモン?が足りないとか…?
どうしたら左之助は止まらなくなるのかな?
もっと…したい、だなんて思ってる私はやっぱり変態なのかもしれない。
はしたない女の子にならない様にしなくちゃ…。
煩悩との戦い…そんな言葉が頭をよぎった。