第10章 【番外編】対煩悩戦の始まり
「さのすけ~!ごま油ってある?」
遠征が終わった翌週に、休みが取れたからどっか連れて行きたかったが、教師と生徒…目撃されたらまずいって事で、約束通り飯を作りに来てくれたわけだが。
何の警戒もなしに…いや、逆に言えば俺の気も知らねぇで、それなりにどこか期待してるのが分かる。
ミニスカートにエプロンをして、とんとんとんとまな板を鳴らす夢主(姉)の後ろ姿を見つめながら…
俺は今日もくらくらしそうな脳内と戦うしかない。
「もうこんな時間か。車行くぞ?」
そう帰ることを促せば・・・
少し寂しそうな顔をして、「は~い」とふてくされながら返事をする夢主(姉)に、「泊まって行けよ」と言える日はまだ遠い。