第2章 サクラ散る頃
高校生になった一君は、剣道部に入部して、全国大会とか行っちゃって、真面目だから風紀委員にもなっちゃって。成績もトップクラスで期待の星で。
私は学校なんて嫌いで…部活もしていないし…なんの取り柄もなくて。
大好きなネイルの資格とかとっても、学校にはなんの意味もない。爪切れって怒られるだけ。
風紀委員なのに私には怒れなくて。それどころか、いつも優しい目をしてて。
私が笑いかけると…
決まってとっても優しい顔をして、キスをくれるの。
あれ?涙が出てきちゃった。どうしよう。お昼休み終わるのに。午後もさぼるしかないじゃない。
「………なにしてるの?」
「泣いてるの」
「なんで?」
「総司・・・なんでいるの?」
「夢主(妹)ちゃん来たでしょ?ちゃんと会えたかな~って。」
「会えたよ。」
「で?どうして泣いてるの?」
「…これから失恋するから。」
「………へぇ」
総司にはなんでも話せる。言葉に飾りをつけなくても伝わってるのがわかる。
「まぁ、いつか来ると思ってたけどね。僕は。」
「………」
「夢主(姉)ちゃんだって思ってたんでしょ?」
「………」
「……で、いつなの?その失恋する日。」
「わかんない。1年後かもしれないし…今日かもしれない。」
「なにそれ?」
「一君はまだ気がついてないから…」
「ふぅん…」
「ねえ…総司…」
「何?」
「大好き。」
「は?」
「一君が」
その後、私は声を出して泣いてしまったのだけど。お昼休みの終わりが来るまで、総司は何も言わずに、そこにいてくれた。
「……僕は戻るよ。この後出ないでしょ?」
「うん。」
「夢主(姉)ちゃんはお腹が痛くて動けませんって言っておくよ。」
そう言って、総司は戻っていった。
総司に聞いてもらって少し落ち着いた私は、やっぱりきれいな空を見上げて、一君のことを思い出して…一人でドキドキするしかなかった。