第7章 横暴な要求
いつものように屋上へ。
少し強めの夏の風に、スカートがめくれてしまいそうになって、誰もいないけれど慌てて抑える。
終業式が終わって、教室まで戻る途中、原田先生と女子生徒が話している姿を見かけた。
先生が生徒と話をするのはあたり前のことで…
先生が女子生徒と話しをしてることくらいたいしたことじゃない。
それはわかってるのに…
心はどんどん曇っていく。
はぁ…
小さな溜息がこぼれる。
私どうしちゃったんだろ。
原田先生が近くに来るだけで、うれしいはずなのにその場から逃げ出したくなるし、話をしても目を見れない。
今までどうやって接してきたのか、すっかりわからなくなってしまった。
ねえ、先生・・・
私にくれた言葉は本当?
「お前のわがままならいつでも聞いてやるよ」
その言葉を思い出しては、それを武器に、原田先生の所へ乗り込んで行きたくなるけれど…
思ったより、私は意気地無しみたいで。
はぁ…
ここ数日で何回ついたかわからない小さな溜息を、またひとつこぼした。
女子生徒にかこまれて、優しい顔をして…何かを褒めたのか、頭にぽん、と手をのせたりしてて…
きっと今までなら何も思わなかったし、原田先生が面倒見がいいのは有名だし、本当に気にする必要ないことなんてわかってるのに。
私以外に優しくしないで欲しい。
そんな欲望がどんどん溢れて、苦しくてしかたない。
恋人じゃないのに。
第一、原田先生が私をどう思っているかすらわからないのに。
私はとんだ勘違い女に成り下がってしまったみたい。
私、気持ち悪っ
自分の姿を表現するのに、今はこの言葉が調度いい。
屋上から校庭を見下ろせば、タイミングいいのか悪いのか、原田先生の姿が見えた。