第2章 サクラ散る頃
お昼休みになったから、山南先生にお礼を言って、教室へ戻る。
教室に入ると、
「千鶴!!大丈夫なの??」
夢主(妹)ちゃんが泣きそうな顔で飛んできた。
「すっかり大丈夫。心配かけてごめんね」
「ううん。顔色もよくなってる!気がつかなくてごめんよ。大丈夫でほんとによかった。」
改めて、夢主(妹)ちゃんと仲良くなれてよかったな…と思う。
暖かい気持ちになって、朝から何も食べてなかった私は、お腹がぺこぺこなことに気がついた。
お昼をたべよう、と、夢主(妹)ちゃんに言って、机をくっつけてお弁当を広げる。
「あああ!お箸忘れた…」
「ええっ!誰か割り箸とか持ってないかな…」
クラス中聞いてまわっても誰も持っていなくて、
「ごめん。千鶴。ちょっと姉のとこ行ってくるわ」
「私も一緒に行こうか?」
「千鶴は安静にしてて!」
「ふふふ…もう大丈夫だよ。行こう?」
そう言って、私達は三年生の教室を目指した。
夢主(妹)ちゃんのお姉さんに会ってみたいなぁ…なんて思ってついて来たのだ。
三年生のフロアは、やっぱりなんだか怖い。皆さん大人っぽいし、私達一年が歩いていると目立ってしまう。
教室の前について、中をちょこんと覗いてみる。
さすがに夢主(妹)ちゃんも少し緊張してるみたい。
「何してるの?そこ、邪魔なんだけど。」
後ろから声がして振り返れば、
背が高くて茶色の髪のイマドキ風な男の人が立っていた。
「あっ!沖田先輩!」
どうやら夢主(妹)ちゃんは知ってる人みたい。ちょっとだけほっとする。
「ああ、夢主(妹)ちゃん。どうしたの?僕に会いに来てくれたのかな?うれしいなぁ。」
「もう!からかわないでください!お姉ちゃんに用があって…」
「なぁんだ。夢主(姉)ちゃんか。夢主(姉)ちゃんなら屋上にいると思うよ?」
「屋上?わかりました!ありがとうございます!」
夢主(妹)ちゃんと一緒に沖田先輩という人に、ペコリとお辞儀をしてから屋上へ向かう。
沖田先輩と夢主(妹)ちゃんってどんな関係なんだろ?仲が良さそうに見えたけど…