第7章 横暴な要求
「…なんでわかったの?」
総司から聞いた…と答えるべきか迷って、さあな、と濁して答えた。
「礼も言いたかったのによ。」
夢主(姉)の目をしっかり捕らえて、声を低める。
しばらく目を合わせていると、
みるみる赤くなって、ぱっと俺から目線を外して下をむいた。
おいおいまじかよ。
女心なんてもんはわからねぇが、この態度が何を表してるのかはわかる。
「いっぱいお菓子貰って嬉しそうにしてたから、いらないかと思って置いといただけ!」
ふてくされたように言う夢主(姉)が可愛すぎて顔がほころぶ。
「何笑ってるの?」
そんな俺に、さらにふてくされる。
「いや。お前があまりにも可愛すぎて。」
夢主(姉)はますます赤くなる。
「…そんなことばっかり、いろんな子に言ってるんでしょ?」
そう言って…
「もう行かなきゃ」
と、走り出した。
何なんだ一体。
あの反応…あれは間違いなく俺を…ってことだよな?
だったらなんで避けられてんだ?
わからねぇ…
空を見上げて、たばこをもう一本取り出す。
たばこを携帯灰皿に押し付けて、時計を見た。
そろそろ剣道部の合宿説明会だ。
生徒は夏休みか。
しばらく会えねえな…
教師である以上、俺から動くことはできない。
「…くそっ」
屋上のドア付近の壁をゴツンと殴って、階段を下りた。