第5章 夏の暑さと恋模様
「千鶴また明日ね〜!」
沖田先輩が夢主(妹)ちゃんを迎えに来て、クラスメイトを一騒がせさせた後、二人は帰って行った。
夢主(妹)ちゃんは自信がないっていうけど…
沖田先輩は夢主(妹)ちゃんにしか優しくないよ?
「ねぇねぇ!お姉さんと沖田先輩つきあってるんでしょ?」
「いいな~!沖田先輩の妹ポジなんてうらやましい!」
そんなことを言われて、落ち込んでた夢主(妹)ちゃんだったけど、最近はまた楽しそうになってきてよかったなぁって思う。
「千鶴…聞いて?」
それは4月の終わり…ゴールデンウィークの手前だったかな…
登校するなり真面目な顔をした夢主(妹)ちゃんから声をかけられた。
「…お姉ちゃんと斎藤先輩別れた」
その言葉を聞いて、どんな反応をしたらよいものか、正直戸惑った。
悲しむのも違う…喜ぶのも違う…
うれしい?って聞かれたらうれしいかもしれないけれど、すぐに思いつく感情じゃなかった。
そんな私の心中を察してくれたのか、
「ごめんごめん。大丈夫だよ千鶴」
そう言いながら微笑んで、
「泣いてないって言ったら嘘になるし、姉妹そろって泣いて斎藤コノヤローって叫んだ事実は隠さないけど…お姉ちゃんはあっけらかんとしてるから、私ももう気にしない!」
と、言い放って…
「そして今から千鶴を全面的に応援するのだぁっ!!」
と、クラス中に注目されるくらいの勢いで言ってくれた。
私はそんな夢主(妹)ちゃんに、なんだか涙が出てきて、ありがとうって言いながら泣いちゃったんだっけ。
あれからもう2ヶ月とちょっと…明日でテストもおしまいで…もうすぐ夏休みになるんだなぁ。