第5章 夏の暑さと恋模様
抱きしめても照れたりせずに、いつも飄々としてる夢主(姉)の表情が、少し照れているように見えて、俺は脳内がクラクラする感覚に襲われた。
「何照れてんだよ。」
自分の照れ隠しにそう言えば、
「ん?だってうれしいもん。」
と、ガラにもなくもじもじしだした。
なんだ?熱あるからか?
あまりにも可愛いい反応に、高熱を出して家まで送ってるという本来の目的を忘れそうになる。
「そういや、ちゃんと親御さんに病院連れてってもらえよ?」
と、俺はなんとか軌道修正した。
家に帰っても一人だという夢主(姉)を、俺は病院に連れて行ってから家まで送った。
ふらふらしてる夢主(姉)を抱えて、部屋まで運ぶ。
さっきまでのへらへらした感じはなく、かなり辛そうだ。
スポーツ飲料とか買ってくるんだったな…食うもんは…妹が帰ってくれば大丈夫か。
着替えのために部屋から出てた俺は、そのままコンビニに行くことにした。
部屋の外から声をかければ、
「…すぐ帰ってくる?」
小さく弱々しいが少し甘えた声が返ってきた。
これがさっきの女子生徒みたいにただの生徒なら何にも問題はないんだが…
生徒とはいえ、惚れてる女に甘えられると、うれしい半面いろいろ問題だ。
…ったく…困ったな。
帰ってくるもなにも、帰りたくなくなっちまう。
ろくでもないことを考えながら俺はコンビニに向かった。