第4章 葉は緑、空は雨色
会場出口のすぐそばに、目立つ金色の髪を見つけた。
ん?あれは?
その目立つ金色の頭は、薄桜の制服を着た女子と話している。
遠目で詳細はよくわからないが…その女子の額に触れている!
「あ?何やってんだ?」
一緒に風間を探していた不知火は機嫌の悪そうな声を出した。
我々は大きな声で風間を呼ぶも、その薄桜の制服を着た女子から風間は目を離さない。
ここまで来て何をやっているんだ風間。
そんな思いを抱きながら、風間の元へ走る。
到着する前に、薄桜の女子は風間から離れ、我々とすれ違った。
すれ違いざまに、少し微笑んで会釈をされる。
!!!!
ふわりと甘い香りがした。
「沖田の試合見ないでナンパかよ?」
すれ違った薄桜の女子の後ろ姿を見ながら、不知火は口を尖らせてからかうも、風間はフンッと鼻で笑って返した。
決勝戦が終わると、風間が再びすたすたと歩き出す。
見失うまいと不知火と共に追いかけると、風間の向かった先は、薄桜の待機場所だった。
決勝戦の結果に沸いている中をつかつかと割り込んでいく。
かなり目立つこの制服と金色の頭は、歓喜に沸いていた空気を一変させ、薄桜の部員全てが風間に注目をした。
「今年の全国は俺が勝つ。首を洗って待っていろ。」
「何?わざわざ見に来てくれたの?遠いのにご苦労様。」
会話はそれだけだったが、
「帰る」
と言った風間は満足気だった。
かなり遠出の敵情視察だったが、いい試合を見れたのは確かだ。
8月の全国大会が楽しみだ。