第4章 葉は緑、空は雨色
「ったく、なんで俺達まで。」
横に座る不知火は不機嫌極まりない。
此処は東海道新幹線。
わざわざ始発の新幹線に乗り込み、関東大会の会場まで行くことになった。
それもこれも全ては風間の付き添いだ。
昨年の大会は、惜しくも風間は薄桜の沖田に敗れた。
相当悔しかったらしい。
わからなくもないが…何もここまで…とも思うが、これも風間だ。仕方ない。
見慣れない景色を楽しみつつ、会場までの行き方を調べる。
会場を着くと、風間はすぐにどこかへ消えた。
沖田を探しに行ってるのか…。
まあ、そう広くはない会場だ。そのうち見つかるだろう。
せっかく来たのだからと、目星を付けた試合を見学することにした。
やはり薄桜は強かった。
昨年の全国大会三位の斎藤は、やはり強い。
組合せ次第では、今年は俺とも当たる可能性がある。いや、直感だか…絶対当たる気がする。
…左利きか。
何にせよ警戒すべき人物だ。
それにしても…沖田の人気はすごいな。
男子校である我々にとっては、羨ましいとも言える。
風間はこの人集りの中で見ているのか?まさかここまで来て、拗ねてるなんてこと…
有りそうだ。
辺りを見回しても、沖田に黄色い声をあげる女子ばかりで、目立つはずの風間は見えない。
「うるせーなぁ。試合に集中できねぇじゃねーか。」
耳に指をつっこみつつも、不知火は沖田を試合をじっと見ている。
「つーか…風間どこいった?」
全ては、
「沖田の見物に行く。」
と言いだした風間のせいでここまで来たのにもかかわらず、多分この試合は見ていない。
昨年より幾らか強くなっている沖田の試合を見終わると、風間を探しに行くことにした。