NONFICTION【家庭教師ヒットマンREBORN!】
第12章 大切なもの
軽く談笑した後、皆は個々の部屋へと戻って行った。
私はハルちゃんと戻ってきた京子ちゃんと合流して三人が寝泊まりする部屋へ向かっていた
2人とファッションのことや料理のこと、イタリアについて話しながら歩く。
2人は私のことを"普通"だと思っている。暗殺業を担っていると言っても驚くだけで差別的な目を向けたり、恐怖の表情を浮かべることは無かった。
……強いな…
年下ながら、きっと場馴れというのか。私たちのようなマフィア関連に慣れている
不意に私はポケットから手のひらサイズの手鏡を取り出した。丁度掌に収まるスライド式の丸鏡。漆で塗られた表面には赤い椿と黒の燕が描かれている。
私がずっと、大切に持ってきたもの。
いつから持っているのかわからない。まだ日本にいた時なのか、それとも中国へ流された時なのか、仕事の時なのか
でも、ずっとずっと大切にしてきたのだ。この鏡を見ると生まれた時から、いや、生まれる前からこの鏡を知っているようなそんな不思議な感覚に陥るのだ。。だから、きっと私が持つことに何か意味があるのだと信じて肌身離さず持ち歩いた。
「はひ?何ですかそのビューティフルな鏡は」
「ホントだ!きれーな鏡」
ハッと気づいた頃には2人が両脇から私の手鏡を覗いていた
『っ、……これは本当の私を映してくれる大事なものなの』
そう言って、ゆっくり蓋をスライドさせた
映るのは顔に血のついた自分。
………そう思ったらただ忌々しい赤髪が頬に張り付いているだけだった。
「本当の自分を映すって、どういうことですか?」
『さぁね…。ただ、私がそう思うだけ。けど、普通の鏡じゃないのは確かなんだ』
「よっぽど大事なものなんだね」
『うん。』
蓋を閉じて、再びポケットに滑り込ませた
『さて、女子会しますか』
部屋の扉の前で隠し持ったお菓子を掲げ、悪戯っぽく笑って見せた