NONFICTION【家庭教師ヒットマンREBORN!】
第10章 日本へ
「テメェのあんな顔初めて見たぜぇ」
機内の中でふっ、と思い出して笑うロン毛
『うっさい…っ昨日のはなんていうか…その…』
ぽそぽそと目線をそらしながら言い訳を考える叶風
その割にまともな言い訳が一つも出てこねぇが…
『………もしクビになったら、って考えて見たの』
まだ俯いたまま、でも声のトーンはさっきより落ち着いていた
『最初はヴァリアーなんてただのサディストの集団でどうでもいいと思ってた…』
「おい、コラ…』
『けど、クビになったらもう会えなくなるんだ、って思ったら急に不安になって…
──こんなにもヴァリアーにいることが楽しいだなんて気づかなかった…』
俯いていても顔が赤いことがすぐにわかった。
…可愛い
は、俺今なんでコイツのこと…っ
…いやでも、耳まで真っ赤にして、ぎゅっと隊服の裾を掴んでいるのだからそう思うのは仕方がない。そうだ仕方ないんだ
そう無理矢理に理由をつけた
…きっと叶風は初めて素をさらけ出したと思う
今まで…と言ってもまだ1ヶ月もたっていない付き合いだが、見える所は見える
コイツの長所や短所、嫌いなとこや、ムカつくとこ…まだまだあるコイツの一部をこの数週間で見てきたんだ
その中で、初めての“不安”という感情を見た
「なら、テメェの居場所はしっかり自分の手で掴むんだな。精々俺に振り落とされねぇようにしがみついとけ」
不敵に笑って見せれば、まだ赤い顔をこちらに向けた
そして何かを言おうと口を開いてやめた
不思議そうな顔をで叶風を見るがその答えは帰っては来なかった